R-ZMOT 新しい新卒採用プロセス

R-ZMOT 新しい新卒採用プロセス

R-ZMOT(アールジーモット)は、これまでの一般的な新卒採用プロセスに変わる、新しい採用プロセスモデルです。Googleが提唱するマーケットモデル「ZMOT(ジーモット)」を元に、新卒採用活動のマーケティングモデルとして整理した考え方です。このページでは、その考え方の紹介に加え、実際の採用プロセスに当てはめた考え方をご説明します。

FMOTからZMOTへ

2000年代前半、「FMOT」はP&G社のCEOであったアラン・ラフリー氏が提唱

FMOT エフモット First Moment of Truth

P&G社のCEOであったアラン・ラフリー氏が提唱。P&G社では2000年代前半、消費者の行動分析によって「消費者は、店頭の商品棚を見てからの3秒〜7秒の間に、展示やパッケージを見て商品を買うかどうかを決定している」と結論付けました。そして、新規顧客の獲得には店頭プロモーションが重要であるとし、商品のパッケージデザイン、展示、販促物、接客など、店舗体験に力を入れました。P&Gの戦略が成功し、FMOTの重要性が広く知られることとなりました。しかし、インターネットが普及するにつれて、顧客が買い物をするときの行動は変化、店頭に行く前に入念に商品の下調べをして、どの商品を購入するのか決めてからお店に行くようになりました。

SMOTエスモット Second Moment of Truth

SMOT(エスモット)は、「消費者が商品を使用し、その良し悪しを判断・評価し、リピートを決める瞬間」を表す購買メンタルモデル。P&G社のCEOであったアラン・ラフリー氏が提唱。消費者がその商品や体験を通じて、満足度が高ければ再び同じ商品もしくは同じ会社の別の商品を購入してくれる可能性が高くなる。マーケティングの世界では、新規顧客を獲得するには既存顧客の5倍のコストがかかるという「1:5の法則」があります。既存顧客は一度商品を購入しているため、新規顧客より少ないコストで購入してもらうことができます。つまり、リピーターの獲得にはSMOTの体験価値を最大限に高めることが重要。

TMOT ティーモット Third Moment of Truth

TMOT(ティーモット)とは 、「消費者が商品を繰り返し購入・使用するうちに愛着が芽生え、愛用者として定着する瞬間」を表す購買メンタルモデルです。一連のメンタルモデルでは最後の段階になります。多くの商品は、買って、使って、一度きりで終わりというものではありません。家電製品などの耐久消費財であれば使い続けますし、日用品やサービスなども再購入の機会があります。これらの体験の繰り返しを通じて、消費者の気持ちが更新され積み重なっていきます。良いTMOTが続けば、商品やブランドに対する愛着が高まって、さらに、商品やサービスについての好意的なレビューや口コミ、SNSへの投稿を行ってくれることも見逃せません。

2011年、Googleが提唱した「ZMOT」

ZMOT ジーモット Zero Moment of Truth

ZMOT(ジーモット)とは 、「消費者が実店舗を訪れる前にインターネット上の情報をもとに購入したい商品を決める瞬間」を表す購買メンタルモデル。Googleが提唱したマーケティング理論です。FMOTは商品に最初に触れる瞬間のモデルですが、ZMOTはその前のゼロ段階を定義。現在はインターネットによる情報収集が一般的になったことで、店頭に行く前から商品・サービス、ブランドと消費者との交流が発生しています。既に来店時には何を買うか決定している場合が多いのです。ZMOTで選ばれる製品やブランドになるためには、自社サイトやSNSの媒体やコンテンツが顧客目線でどのように評価されているかを調査し、検討、改善し続けることが大切。

R-ZMOT

新卒採用の新しいマーケティングモデルがR-ZMOT(アールジーモット)

Stimulus
スティムラス(刺激)
認知・発見

Stimulus( スティムラス)とは 、就活生に企業を知ってもらうことです。このステップは、これまでと同様で、広告・広報を行う事になりますが、メディアやサービスについては近年、多様化していますので、自社の求める人材像に照らして、複合的に組み合わせることが大切です。

具体的には、就職サイト、合同説明会などの就職イベント、人材紹介サービス、オーファー型サービス、ウェブ上での広告など採用活動向けに様々な商品・サービスがラインナップされていす。それぞれの特徴を理解し選定します。

R-ZMOT
Recruiting Zero Moment of Truth
検索・情報収集・応募企業の決定

前述のZMOTは 、「消費者が実店舗を訪れる前にインターネット上の情報をもとに購入したい商品を決める瞬間」を表す購買メンタルモデルですが、新卒採用の場合、最初に1社に決めるのではなく、複数の応募企業を決定します。RーZMOT(アールジーモット)は、この応募企業を決める瞬間と定義します。企業を発見・認知した学生は、検索して企業に関する情報をチェックします。更に情報を確認したい場合、インターンシップ、オープンカンパニー、会社説明会など、個別企業が開催するイベントへ参加します。その結果、応募企業を順次決定します。このステップは、個人差が大きく、全てのイベントに参加する学生もいれば、ネット情報で応募を決める学生も存在しており、応募企業決定までのプロセスは様々です。

N-ZMOT
Next to Zero Moment of Truth
志望企業上位の決定

N-ZMOT( エヌジーモット)は 、複数の応募企業から志望企業上位を決定する瞬間です。学生は、企業側の選考を受けながら、同時に、自ら企業を選考しています。面接時の対応や社員のコミュニケーションの様子、雰囲気など選考中に感じる様々な情報と、これまでに収集した情報を合わせて、志望企業の順位付けをおこなっていきます。その中には、選考中に不合格の連絡をもらう企業もありますが、逆に自ら選考途中で辞退する場合も増えています。企業にとっては、このステップで志望企業第1位になることが望ましい状態ですので、選考しながら、動機付けや疑問・不安の解消などきめ細かな対応が重要になります。

FMOT
First Moment of Truth
内定承諾の瞬間

FMOT(エフモット)は 、学生が内定承諾をする(1社を決める)瞬間です。承諾するかどうかは、NーZOMTでの志望順位が大きな影響を持っています。自社は1位なのか、それとも2位、3位なのか。例えば、自社が志望度2位で、1位の企業から不合格通知が来た場合、その学生が内定承諾する確率は非常に高いですが、100%ではありません。学生は最後まで悩んでいます。

SMOT
Second Moment of Truth
自分の決断に納得する瞬間

SMOT(エスモット)は 、内定承諾後に自分の決断に満足度する瞬間です。学生にとって「内定承諾」することは、それまでの人生の中でも大きな決断です。そのため、心の中では、常に不安な気持ちも持っています。家族・友人・知人などのちょっとした「言葉」でも影響を与えますので、こうした不安を超える安心感とワクワク感の情勢が大切です。

TMOT
Third Moment of Truth
入社後に良かったと感じる瞬間

TMOT(ティーモット)は 入社後に「この会社を選んでよかった」と感じる瞬間です。この気持ちは、SNSなどのレビューや掲示板への投稿などにつながる可能性があります。採用担当者の領域を超えているかもしれませんが、これからの採用活動を考えると、このステップまでを考えることが必要になります。

R-ZMOTの特徴として、プロセスを「応募企業決定の瞬間」「応募企業上位を決定する瞬間」「内定承諾の瞬間」など学生側の気持の瞬間を観点に整理している点です。これまでの「エントリー」や「インターンシップへの参加」「会社説明会への参加」といった行動プロセスから、学生側の気持ちの変化をステップとして考えていくモデルになっています。また、学生が「企業を発見し認知する瞬間」から、入社後に「この会社を選んでよかったと感じる瞬間」までを採用プロセスと考える点も特徴です。特にTMOTについては、SNSなどのレビュー、掲示板投稿が増加する中、影響力が高まっていきます。

R-ZMOTが新しい採用プロセスを提案

新卒採用におけるトリプルメディアを認識する

R-ZMOTでの新卒採用プロセスを考える場合、トリプルメディアの理解が大切です。トリプルメディアとは、企業がメディア戦略を行う上で、消費者と接点になるメディアを「ペイドメディア(paid media)」「オウンドメディア(owned media)」「アーンドメディア(earned media)」と3つに分類した考え方のことです。海外では、各メディアの頭文字をとってPOEメディアという呼び方が一般的です。人材採用活動においてもネットでの情報収集が一般化される中、ペイドメディア中心の情報発信だけでは、期待する集客を得るのが難しくなっています。オウンドメディアやアーンドメディアの価値を強化し計画的な情報発信が求められています。

ペイドメディア

「ペイド」とは「お金を払う」という意味でお金で買うことができる広告です。

広告・広報メディア

就職サイト、各種求人サービス、オンラインイベント、対面イベント、各種CMなど、採用広報を行うためのメディア・サービスが該当します.

オウンドメディア

オウンドメディアの「オウンド」は、「所有する」という意味で、企業やサービスが自分たちで所有しているメディアのことを指します。

自社管理メディア

1.自社公開サイト:自社コーポレートサイト、自社採用サイトなど検索エンジンで公開しているサイト
2.限定公開サイト:採用マイページサイトなど、URLを知っている人だけが視聴可能な限定サイト
3.自社イベント:インターンシップ、オープンカンパニー、個別企業説明会など
自社運営のイベントもオウンドメディア

アーンドメディア

「アーンド」は「得る、受ける(earnd)」という意味がありますが、ここではユーザーからの信頼・評判を受けるという意味です。 主にソーシャルメディアが対象です。

ソーシャルメディア

各種SNS(Instagram・Twitter・TikTok・・)、口コミサイト(みん就・社員口コミ・・)ほか。ここでは、選考通過したESの記入例や内定者の声、面接での質問項目、更には現役社員の会社の評価や退職社員の声などを見ることができます。

これまでの新卒採用プロセス

エントリー者を多く集めインターンシップや会社説明会の参加者を増やす。インターンシップや会社説明会に参加してくれれば、応募者数を増やすことができる。この考え方がこれまでのプロセス。下記の図のケースであれば、インターンシップ、オープンカンパニー、会社説明会への参加が、応募するための条件になっている。

就職サイト掲載・イベント出展

エントリー、インターンシップ・会社説明会予約者が少ない場合、複数のメディアを利用することが多い。

エントリー

インターンシップ・
会社説明会など予約

インターンシップ

オープンカンパニー

会社説明会

応募受付

インターンシップ、オープンカンパニー、会社説明会への参加者が応募する

R-ZMOTのプロセス

R-ZMOTの採用プロセスは、学生の応募企業決定プロセスに沿って展開しています。企業側からは、確認しにくい「社名検索(Search)」といった行動も考慮し、企業にとって大切な応募者数を最大化することをゴールと設定しています。

Stimulus - R-ZMOT - N-ZMOT

ペイドメディア
広告・広報

就職サイト、各種求人サービス、オンラインイベント、対面イベント、各種CMなど

発見・認知
 

就職サイトで発見する行動やイベントで発見するなど

社名検索
Search

初めて認知した企業の場合、まずは社名検索を行います

オウンドメディア

検索結果に表示された
●コーポレートサイト
●採用サイト
情報を見て内容を検討する

アーンドメディア

検索結果に表示された
●表示されたSNSサイト
●掲示板サイト
情報を見て内容を検討する

4つのパターンに
行動が分かれます

企業を発見・認知後、次の行動を左右するのは、ペイドメディアの情報も重要ですが、オウンドメディア、アーンドメディアの情報の方が、大きな影響を与えます。自社でコントロール可能な、自社サイトは、常に最新の情報に更新するなど、見やすく・わかりやすいサイトにすることが大切です。その結果、学生の行動は4つのパターンに分るされます。

パターン1 何もしない学生

何も行動しない学生

パターン2 検討リストに登録学生

エントリーやイベント予約などの行動は起こさないが、就職サイト等の「検討リスト登録」などの機能で保留する学生

パターン3 エントリー学生

就職サイトの場合「エントリー」を押したりイベント等の場合「出席リスト」を提出する学生(名前・メールなどのリスト情報を入手)

パターン4 イベント予約学生

インターンシップ、オープンカンパニーや会社説明会など、自社開催のイベントへの参加予約を行った学生

新たな応募ルートづくり

新たな応募ルートとは

パターン4は、これまでの採用プロセスで利用しているルートです。パターン1は、残念ながら対応手法がありません、ポイントは、パターン3とパターン2への対応です。

パターン1 何もしない学生

対応手法がありません

対応手法がありません

パターン2 検討リストに登録学生

興味・関心を多少は持っている

この学生たちには、直接メッセージを送信はできませんが、採用サイトへの訪問の可能性が考えられます(企業研究の対象になっていると考えられる)。
●自社採用サイトを強化し、サイトから応募可能な状態を準備
●下記のパターン3の対応後になりますが、エントリーを行うと、動画説明会など情報を入手できることを採用サイトやペイドメディアで広報する
こうした取り組みで新しい応募ルートを設けることが出来ます。

採用サイトからの
応募ルート

自社の公開サイト(コーポレートサイト・採用サイト)の影響は、大きくなっています。コンテンツを強化し、応募フォームへのルートを設置することが重要

パターン3 エントリー学生

興味・関心があるからエントリーしています

この学生たちには、直接メール送信が可能です。企業側は、この学生たちへイベントの案内を行っていますが、これはあまり効果が期待できません。この学生たちは、イベント情報は既に知っています。その情報をメールで伝えても学生は動きません。学生が知らない別の情報を送ることが重要です。
●動画形式の説明会情報や社員情報などの視聴画面を準備しURLを送信
●また視聴後に応募可能なルートを設定する
パターン3の学生たちへこうした対応を行う事で応募者数を増加させることが可能です。

限定公開の動画サイトから
新たな応募ルート

動画説明会や先輩社員動画など、学生が知らない情報を予約不要で視聴できる点が効果的。イベントへの予約を行わない学生を積極的に応募へ導きます

パターン4 イベント予約学生

これまでの採用プロセスで予約している学生

この学生たちは、これまでの採用プロセスで予約している学生と同じです。インターンシップ、オープンカンパニー、会社説明会など、例年実施しているケースが多いと思います。コンテンツを磨き、学生にとって新鮮で魅力あるイベントにすることが重要です。

こでまでの応募ルート

インターンシップ、オープンカンパニー、会社説明会など自社イベント参加を前提として応募を集めるこれまでの手法

応募企業
決定

R-ZMOTでは、これまでのように自社イベント参加から応募するというルートだけではなく、検討リスト学生やエントリー学生への接点を強化し、自社サイトや限定公開サイトからの応募ルートを確立し、応募者数を最大化することをゴールとしています。

Stimulus - R-ZMOT - N-ZMOT

ペイドメディア 広告・広報

就職サイト、各種求人サービス、オンラインイベント、対面イベント、各種CMなど

発見・認知

就職サイトで発見する行動やイベントで発見するなど

社名検索 Search

初めて認知した企業の場合、まずは社名検索を行います

オウンドメディア

検索結果に表示された
●コーポレートサイト
●採用サイト
情報を見て内容を検討する

アーンドメディア

検索結果に表示された
●表示されたSNSサイト
●掲示板サイト
情報を見て内容を検討する

4つのパターンに行動が分かれます

企業を発見・認知後、次の行動を左右するのは、ペイドメディアの情報も重要ですが、オウンドメディア、アンドメディアの情報の方が、大きな影響を与えます。自社でコントロール可能な、自社サイトは、常に最新の情報に更新するなど、見やすく・わかりやすいサイトにすることが大切です。その結果、学生の行動は4つのパターンに分るされます。

パターン1
何もしない学生

何も行動しない学生

パターン2
検討リストに登録学生

エントリーやイベント予約などの行動は起こさないが、就職サイト等の「検討リスト登録」などの機能で保留する学生

パターン3
エントリー学生

就職サイトの場合「エントリー」を押したりイベント等の場合「出席リスト」を提出する学生(名前・メールなどにリスト情報を入手)

パターン4
イベント予約学生

インターン、オープンカンパニーや会社説明会など、自社開催のイベントへの参加予約行った学生

新たな応募ルートづくり

新たな応募ルートとは

パターン4は、これまでの採用プロセスで利用しているルートです。パターン1は、残念ながら対応手法がありません、ポイントは、パターン3とパターン2への対応です。

パターン1 何もしない学生

対応手法がありません

対応手法がありません

パターン2 検討リストに登録学生

興味・関心を多少は持っている

この学生たちには、直接メッセージを送信はできませんが、採用サイトへの訪問の可能性が考えられます(企業研究の対象になっていると考えられる)。
●自社採用サイトを強化し、サイトから応募可能な状態を準備
●下記のパターン3の対応後になりますが、エントリーを行うと、動画説明会など情報を入手できることを採用サイトやペイドメディアで広報する
こうした取り組みで新しい応募ルートを設けることが出来ます。

採用サイトからの応募ルート

自社の公開サイト(コーポレートサイト・採用サイト)の影響は、大きくなっています。コンテンツを強化し、応募フォームへのルートを設置することが重要

パターン3 エントリー学生

興味・関心があるからエントリーしています

この学生たちには、直接メール送信が可能です。企業側は、この学生たちへイベントへの案内を行っていますが、これはあまり効果が期待できません。この学生たちは、イベント情報は既に知っています。その情報をメールで伝えても学生は動きません。学生が知らない別の情報を送ることが重要です。
●動画形式の説明会情報や社員情報などの視聴画面を準備しURLを送信
●また視聴後に応募可能なルートを設定する
パターン3の学生たちへこうした対応を行う事で応募者数を増加させることが可能。

限定公開の動画サイトから
新たな応募ルート

動画説明会や先輩社員動画など、学生が知らない情報を予約不要で視聴できる点が効果的。イベントへの予約を行わない学生を積極的に応募へ導きます

パターン4 イベント予約学生

これまでの採用プロセスで予約している学生

この学生たちは、これまでの採用プロセスで予約している学生と同じです。インターンシップ、オープンカンパニー、会社説明会など、例年実施しているケースが多いと思います。コンテンツを磨き、学生にとって新鮮で魅力あるイベントにすることが重要です。

こでまでの応募ルート

インターンシップ、オープンカンパニー、会社説明会など自社イベント参加を前提として応募を集めるこれまでの手法

応募企業決定

R-ZMOTでは、これまでのように自社イベント参加から応募するというルートだけではなく、検討リスト学生やエントリー学生への接点を強化し、自社サイトや限定公開サイトからの応募ルートを確立し、応募者数を最大化することをゴールとしています。

R-ZMOTのプロセスでは、オウンドメディアの活用が大きなウェイトを占めています。自社の採用サイトの強化はもちろん重要ですが、加えて限定公開型のオウンドメディアが重要な役割を持っています。新卒採用活動の流れが変わる中で、新しい考えで、新しい採用プロセスを検討してください。
Share the Post:

関連記事