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"内定保留"学生への対応方法

このページは、新卒採用ご担当者向けの内容になります。新卒採用活動では、内定通知後に必ず発生する「承諾」「保留」「辞退」の3つの状況があります。ここでは、「保留」学生への対応方法について整理しています。

内定時の学生の実際の対応と本心

リクルートキャリアが発表した2019年卒対象者の2018年5月1日時点内定率調査に興味深い資料があります。これは、内定取得者の承諾・保留・辞退に関して、学生が行った企業への「実際の対応」と「本心」を聞いたデータです。

この資料によれば、学生が行った実際の対応の中で一番多いのは「保留」回答で6割以上占めています。しかし、本心で最も多いのは「辞退」で38.4%の回答となっています。

 更に詳しく分類したのが下記の表です

「実際の対応」別にみる「本心」の割合

出典:株式会社リクルートキャリア 就職みらい研究所

【確定版】2018年5月1日時点 内定状況 就職プロセス(2019年卒)

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「実際の対応」で承諾した学生の本心は、83.3%は承諾、14.1%保留、2.1%は辞退となっていますので、採用担当者には、承諾と言っても本当に承諾しているのは8割程度ということです。また、辞退と伝えてきた学生の中にも、2.6%は本心では保留の気持をもっていた学生もいることがわかります。

内定保留者の約半分は本心でも保留

志望企業順位2位(2位以上)のポジションを確保

保留学生の多くは、現在の内定企業より、高い志望度の企業からの選考結果を待ちたいという気持ちで、保留回答を行っているケースが多いので、仮に志望度の高い企業からの内定を取得した場合、自動的に辞退になるという風にお考えではないかと思います。もちろん、その可能性が高いことも間違いありません。しかし、同時に自社よりも志望度の高い企業から内定を取得できなかった場合、自社の内定を承諾するという確約もないのです。

わかりやすく言うならば、この時点で学生の気持ちの中での志望企業順位2位(2位以上)のポジションを確保することが重要になります。

採用全体の成否の鍵はここにあると言っても過言ではありません。いかにこの保留学生から承諾する割合を増やすかが重要です。

内定保留者が、承諾または辞退の意思決定に必要なもの

自分自身の気持ちの整理

リクルートキャリアの調査にこのような資料があります(複数回答の集計)

第1位

83.3%

他企業との比較検討

第2位

61.7%

自分自身の決断
(気持ちの整理)

第3位

18.1%

他人からの
アドバイスや後押し

注目すべきは、2位の「自分自身の決断(気持ちの整理)」が6割以上ある点です。自分にとっての選択場面で悩むのは当然のことです。コミュニケーションの相手である学生が決断できるようにサポートしながら、できれば自社に決めてもらうための工夫を行うことになります。そのためには、一人ひとりとのコミュニケーションをしっかりと行いながら、2位以上のポジションを確保するための自社への動機づけを行うことになります。

対策1.先輩社員に一目惚れしてもらう方法

口説くというよりも、先輩社員に一目惚れしてもらうことで入社を決めてもらう方法です。(先輩社員に対して憧れを抱くことで自分の未来像と接続する)内定保留者一人ひとりの理想とする社会人像は異なりますので、事前の人選が重要になります。先輩社員は、学生へ特別な行動や言動を行うより、普段通りの自然なふるまいで対応するほうが効果的ですから、採用担当者から先輩社員への情報提供は最小限にし「会社の雰囲気や仕事についての考え方など学生に話してください」といった程度で実施します。

対策2.抽象の階段を上げることで新しい視界を提供する方法

抽象の階段のどの段階ですか?

米国の言語学者サミュエル・I・ハヤカワの残した有名な概念『抽象の梯子(はしご)』(「思考と行動における言語」著者 :S.I.ハヤカワ 著 , 大久保 忠利 訳、岩波書店)という言葉をご存じでしょうか。この考え方が学生との会話において非常に参考になります。

 VPWでは、「抽象の階段」という言葉で表現しています。

例えばパン屋さんに聞いてみました

Q あなたは何をしていますか?

  • 「(美味しいパンで)元気な街づくりに貢献しています」
  • 「(美味しいパンで)人々の笑顔を増やしたい思っています」
  • 「パン屋の経営をしています」
  • 「美味しいパンを作っています」
  • 「クロワッサンを作ています」
  • 「パン生地を成型しています」
  • 「小麦粉を練っています」

これが抽象の階段をわかりやすく表現した一例です。下の項目ほど「抽象の階段を下がる」、上の項目ほど「抽象の階段を上がる」という風に使います。すべての内容はパン屋さんが行っている事であり、間違っていないのですが、パン屋さんの仕事をイメージすると人によりその仕事内容の捉え方が大きく変わる可能性があるということです。

学生は抽象の階段に照らすと真ん中から下

学生にどんな仕事をしたいのかを聞くと、その回答内容を抽象の階段に照らすと、真ん中から下に降りた話が多い傾向です。パン屋さん第一志望の学生の話に当てはめるならば、「小麦を練る」「生地の成型」「美味しいパン」の話が多かったりするわけですが、ゆっくり話を聞いていくと実は「パン屋さんの経営」や「人々の笑顔を増やす」事に興味や関心が高い場合があります。この時、抽象の階段を上げて、学生に「あなたがやりたいのは人々の笑顔を増やすこと」なんじゃないのかなと、しっかりと伝えることが非常に重要です。

抽象の階段を上げてコミュニケーションする

こうする事が、一つ上の視点で物事を考えだすきっかけになるからです。もし、学生本人が自分のやりたいことが「小麦を練る」「生地の成型」「美味しいパン」ではなく、「人々の笑顔を増やすこと」と感じてくれれば、当初第一志望だったパン屋さんは、第一志望から降格し、複数の志望企業の1社となります。そして、自分が本当にやりたい「人々の笑顔を増やすこと」ができる企業はどこかという新しい基準を持ち企業を比較検討し始めます。こうすることで、学生の中での志望企業の優先順位が大きく入れ替わることになります。

今回のケースは、自社が「人々の笑顔を増やすこと」に対して影響を発揮できる企業であることが前提になっていますが、抽象の階段を上がることで、これまで学生が見たことがない視界を提供し、感じてもらうことで、新たな志望企業選択基準を提供することが可能になります。

まずは、学生のしたい事をしっかり聞いていくことが最初の入口です。丁寧に聞くことで、仕事への捉え方や企業選びの基準や考え方を知ることから始めましょう。

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